大阪地方裁判所 昭和44年(ワ)6865号 判決
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〔判決理由〕四 そこで、被告昌幸主張の双方の過失および損害のてん補について検討するに、本件事故の状況は左のとおりであつたものと認められる。
1 現場の状況
一般的状況 両側に人家が連る歩車道の区別のない幅員約5.2メートルの平たんな南北に通じる舗装路で、当時は夜間で人車の往来は少く、街灯等もなくて暗かつた。
道路状況 路面は乾燥し、駐車禁止、制限速度四〇キロメートル毎時の規制がなされている。衝突地点の数メートル南方道路四側端に駐車中の車(貨物車)があり、その東側端附近を訴外西田務(一八才)が女友達と二人で、足踏自転車を中にして北に向け歩行していた。
2 事故車の状況
訴外松野良文(当時一八才)は、事故車を運転し、現場道路を南から北へ向け四〇キロメートル毎時位の速度で前照灯を下向きにして走行していたが前記駐車中の車と歩行者があつて、有効幅員がせばめられていたため、エンジンブレーキにより減速しながら同所を通過し、アクセルに右足をのせた途端右歩行者の北方から、自転車に乗つた人影(原告が急に道路中央に右折するような形で飛び出して来るのを発見し、停止するいとまもなく、事故車右前部を自転車の左側部に衝突させてはねとばし、原告を事故車ボンネットの上にはね上げて右にふり落す結果となつた。
3 原告は、衝突地点に程近い(北方)山本善平(とうふ店)方前から南へ向け、自転車を押して進み、これに乗るべく道路東側で数回片足で地面をけり、助走して乗つたところ、対面して来る歩行者(前記西田ら)があつたため、これを避けようとして右に転把し、道路中央部に進出したところ、折から北進中の事故車に衝突された。<証拠略>
右事故状況からすると、松野良文には、前方に対する配慮が不充分であつた過失が存したものといわざるを得ず、他方原告にも前照灯を点灯して対向して来ている事故車があるのに、これに全然気付かないまま不用意に、その進路上へ飛び出している点、危険から身を守るべき注意義務に著しく欠けるところがあつたものといわなければならない。それ故、原告の損害額につき、五〇パーセントを過失相殺により減額することとする。そこでその対象を、被告昌幸において支払済みの治療費四五万三、八〇〇円(但しうち一万円については争いがない)に、前記弁護士費用を除く各損害額の合算額(二〇六万四〇六五円)とし、その五〇パーセントから右四四万三、八〇〇円と当事者間に争いのない被告昌幸支払いの一〇万円との合計額五四万三、八〇〇円を控除すると、その残額は四八万八、二三五円となる。 (中村行雄)